ICL手術は視力矯正の方法の一つとして注目されていますが、誰もが受けられるわけではありません。視力や目の状態、年齢などの要件を事前に把握することが重要です。 また、手術に伴うリスクや費用等も含めて総合的に理解し、自分に合った選択をする必要があります。
この記事では、ICL手術を受けられる人・受けられない人の条件や、費用についてくわしく解説します。
目次
そもそもICL手術とは?
ICL手術とは、コンタクトレンズと同じ働きのものを眼内に挿入し、視力を矯正するための手術です。角膜を削らずに視力を回復できるため、レーシックに不安を感じる方にも選ばれています。
挿入した眼内レンズは取り外しもでき、将来的な視力変化や老眼の進行に合わせた柔軟な対応が可能です。また、乾燥感や角膜への負担が少ないのも特徴です。
手術は短時間で終了し、回復も比較的早いため、仕事や育児で忙しい方にも適しています。ICL手術についてのくわしい情報は、以下の動画でも解説中です。ぜひチェックしてみてください。
視力矯正を検討するうえで、ICL手術にあたって、大切な要件を把握することが大切です。
安全にICL手術を受けていただくために、自身の健康状態を十分に理解しておきましょう。
ICL手術を受けられる人
殆どの近視患者さんはICL手術の適応がありますが、ICL手術を受けるためには、いくつかの基準をクリアすることで安全性が高まり、術後の満足度も向上します。視力に悩む方が快適な裸眼生活を実現するためには、適応条件を理解し適切な判断をすることが重要といえるでしょう。
年齢制限はあるの?
日本眼科学会の屈折矯正手術ガイドラインでは、近視の手術は18才以上とされています。ICLは、21才以上で製品の認可を受けています。これは、10才代では、未だ近視が進行する可能性があるので、せっかく手術を受けても、しばらくして矯正不足になると勿体ないからです。
ただ、海外への転居、特殊な職業や学校への入学に裸眼視力が必要であるなど、個々の事情が、将来の矯正不足の可能性よりも重視しなければいけないケースでは、例外的に手術をすることもあります。ICL手術の論文実績のある医師に相談しましょう。
近視の度数に制限はあるの?
ICL手術は、LASIKでは矯正できなかった強度近視の方には、特に適しています。そのような方は、強度近視に対応するICL手術を受けることで、日常生活において裸眼での視界が大幅に改善されるでしょう。日本眼科学会のガイドラインでは-6D以上が基本とされていますが、-3D~-6Dの方も、慎重適応という表現で、実際には、安全に手術が行われています。
-3D以下の軽度の近視の方では、国内で認可されているレンズはありませんが、海外から輸入するレンズによって、これも手術が可能です。このような選択肢もある施設に行き、個々の患者さんのニーズと照らし合わせて、術者と相談して決めると良いでしょう。
眼鏡・コンタクトレンズの生活への影響は、職業や趣味など、個人ごとに異なります。 視力の不便さから解放されることで、メガネやコンタクトを装用する手間の軽減や、スポーツ・旅行、仕事のパフォーマンス向上にもつながります。
前房深度が2.8mm以上であること
上記二つに比べて、こちらは非常に厳格な要素です。前房深度とは、角膜から水晶体までの距離を指します。この深さが2.8mm以上あることがICL手術の条件です。十分な前房深度が確保されていないと、レンズの挿入出来ても、その後の眼の中の水の流れに支障を来すリスクが高まります。
一方、適切な前房深度が確認できれば、安全に手術を進めることができ、あとは、前述のような、患者さん個人のライフスタイルや希望を重視して手術を決めれば良いでしょう。術後も良好な視力を維持しやすく、安心して日常生活を送れます。
角膜内皮細胞密度が規定値以上であること
これも非常に大切な要素です。角膜内皮細胞が一定の密度を下回ると、ICL手術は適応外となります。 この細胞は、角膜の透明性を保つ上で重要な役割を果たしており、ICL手術中や術後には角膜内皮細胞が減少するリスクがあるため、十分な密度が必要なのです。
安心して術後の生活を送るためにも、事前の検査で確認しておくことが大切です。
ICL手術にあたって、注意が必要な人
ここからは、ICL手術にあたって、注意が必要な項目についてくわしく解説します。
重度の糖尿病やアトピーなど全身疾患がある場合
重度の糖尿病やアトピーなどの全身疾患があると、創傷治癒力が低下し術後の合併症リスクが高まります。これらの疾患を抱えている場合は、慎重に考える必要がある為必ず主治医と相談してください。
重度の緑内障や白内障などがある場合
ICL手術を受ける年齢の方には希ですが、重度の緑内障がある方は、ICL手術の適応外となる場合があります。ただし、ICL手術を受けた方が、将来緑内障を発症した場合は、適切な時期に点眼治療を始めれば、他の患者さんと条件は変わりません。
白内障が既に発症している方は、白内障手術によって近視矯正をする方が得策な場合があります。ICL手術、白内障手術、両方で論文実績のある医師に相談するとよいでしょう。
事前の診察で適応可否を確認し、ほかの視力矯正方法も検討することが大切です。
重度のドライアイがある場合
重度のドライアイも術後の回復に影響を及ぼすことがあります。ドライアイ特有の症状である涙液不足により、術後の不快感が続く、あるいは、視力回復が少し遅れる事があるからです。
ただし、適切な治療でドライアイの改善を図りつつ手術を行い、術後も執刀医が診察をすることでこれらの問題は解決出来ます。
アレルギー症状が強い場合
花粉症やアレルギー性結膜炎などの症状が極端に強い場合、手術後に目をこするリスクが高くなります。術後の感染症や炎症の原因となるため、アレルギー症状が落ち着いた状態での手術が望ましいですが、通常、術後の点眼薬にステロイド剤を入れることが多いので、それにより、アレルギー症状も低減することが多いと言えます。
妊娠中・授乳中である
以前は、ホルモン変動の影響で角膜曲率が変化する可能性があるため、妊娠や授乳期間中の手術は避けるのが望ましいと言われていましたが、実臨床上は検査に試供するような変化は殆どありません。
しかし、術中の緊張による血圧上昇や、手術台で仰向けの姿勢をとることが母胎に影響を与える可能性はあるので、そのような時期は避けた方が良いでしょう。
出産後は、夜中の授乳など、眼鏡コンタクトは大変煩わしいものですが、小さなお子様を預けての手術は、ご家族の付き添いなどが必要になると思われますので、早めに術前検査を受けて、手術を受ける計画を立てると良いでしょう。
ICLはやめたほうがいい?術後のリスクとは
ICL手術は、視力矯正における有力な選択肢のひとつです。手術に限らずどの様な治療であっても、わずかながらリスクがあります。
インターネット上には、眼科医の動画サイトでも、ICL手術のリスクにだけ焦点をあて、刺激的な内容で患者さんをミスリードしているものがありますが、殆どがICL治療に携わったことの無い医師(=ICL手術の認定を取れない医師)に寄るものです。そしてそれらは、コンタクトレンズにはリスクが無いという、間違った基本知識に基づいています。
術前に偏りの無い情報を把握することで、後悔せずに済むでしょう。以下で、ICL手術のリスクについて解説します。
感染症や炎症になるおそれがある
極めて希ですが、手術時に傷口から細菌が侵入することで、眼内炎などの感染症を引き起こす可能性があります。そのため術後には適切なケアと医師の指示に従うことが大切です。
また、早期に発見して治療することで重症化を防げますが、まれに視力低下を招くこともあります。
これは、希にコンタクトレンズを足場とした重症感染症を起こす例も見られることと同じと言えます。すべての矯正方法に共通することとして、正しいケアを心がけることで、リスクを最小限に抑えられるでしょう。
白内障や緑内障の発症リスク
確率は0%に近いですが、ICL術後に白内障の発症リスクがあります。特に年齢が高くなると、発症の可能性が上がります。ただ、近視の強い人は、手術に関係無く、白内障の発症は早い事が知られています。
また、レンズの位置が原因で眼圧が上がると緑内障を引き起こすこともありますが、これは、上に書いた前房深度と密接に関連していることなので、通常は術前の検査で十分考慮されているはずです。
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夜間に光がにじんで見えたり、まぶしさを感じるハロー・グレア現象が起こることがあります。多くの場合時間の経過とともに軽減しますが、まれに長期間続くこともあります。夜間の運転を頻繁に行う方は、このリスクについてよく考えたうえで手術に臨みましょう。
ICL手術と老眼は関係がある?
ICL手術は近視や乱視の矯正に有効ですが、老眼との関係についても理解しておくことが重要です。視力回復を目的に手術を検討している場合、将来的な見え方に関わるため事前の確認が欠かせません。ここで詳しく解説します。
老眼が治ることはない
ICL手術は水晶体の調節機能には影響を与えないため、老眼の人がこの手術を受けて、老眼も治すことはできません。老眼は加齢に伴い水晶体が硬くなり、近くのものが見えにくくなる症状です。
手術で遠くがよく見えるようになっても、老眼の進行には影響を与えないため、年齢を重ねると近くの見えにくさを感じるようになります。
老眼が進行することもない
老眼が進行することもない
ICL手術の費用と今後の価格動向
ICL手術は自費診療手術であるため、公的医療保険は適用されません。一般的には、両眼で60〜80万円程度が相場です。費用には術前検査、レンズ代、手術費用、術後の診察代が含まれていますが、クリニックによって内容が異なる場合があります。
当クリニックの費用は、近視のみの場合は680,000円(税別)。近視+乱視の場合は720,000円(税別)です。
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また、レンズは房水循環を妨げない「ホールICL」という種類を挿入します。料金が高額である理由は、精密なレンズの製造や専門的な技術が必要な点にあります。
しかし、高品質なレンズや学術的裏付けのある医師の手術を選ぶことで、長期的に安定した視力が得られるでしょう。今後の価格動向については、医療技術の進歩や需要の増加に伴い、費用が上がる可能性も下がる可能性も考えられます。
今後、ICLの後発品が日本市場に入ってくる可能性もあります。その場合も、ICLの認定資格の無い医師でも取り扱える可能性があり、執刀医の質に関して十分に注意する必要があります。後発のレンズであっても、ICL手術の認定医、出来ればインストラクター資格を持つ医師の手術が安心です。
ただし、価格が安くなっても安全性や信頼性を重視することが大切です。費用だけで選ぶのではなく、この手術に関する眼科業界内での評価(=講演実績、論文実績)を比較検討しましょう。
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ICL手術は視力矯正の有力な選択肢であり、多くのメリットがありますが、誰もが適応するわけではありません。
そのため視力や目の状態、年齢などの条件を確認し、リスクを十分に理解することが重要です。費用や今後の価格動向も考慮し、自分にとって最適な選択をしましょう。
信頼できる医師と相談し、納得できる判断をすることが後悔のない結果につながります。