支障のない目のまぶしさ
暗い場所から明るい場所に出たとき、太陽を見たとき、夜遅くに自宅に帰って照明を点けたときなどにまぶしさを感じることは、健康な人にも起こる反応です。こういったまぶしさは、特に心配する必要はありません。
しかし、まわりの人がまぶしさを感じていないのに自分だけまぶしさを感じているとき、これまで特に気にしたことのなかった場面でまぶしさを感じたときは、目の病気などを疑う必要があります。
目とは関係のないまぶしさ
視界の、多くは端の方でチカチカと光が見えたのち、しばらくのあいだ部分的にものが見えなくなる症状を、「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼びます。
閃輝暗点は、片頭痛や脳梗塞の前兆として現れることのある症状ですので、眼科ではなく、脳神経外科や脳神経内科のある病院を受診されることをおすすめします。
まぶしく見える・考えられる疾患
白内障
白内障とは、主に加齢を原因として起こる病気です。レンズの役割を担う「水晶体」が白く濁り、さまざまな症状をきたします。
主な原因が加齢にあるため、年齢が上がるにつれて発症率は高くなります。70代以上の方のうち、80%以上に白内障が認められるといわれています。言い換えると、誰でも歳をとると発症リスクが高くなる病気、ということになります。
症状
水晶体の全体に濁りがある場合には、視界全体のぼやけ、かすみといった症状が見られます。
水晶体の中心部のみに硬化を伴う濁りがある場合には、屈折異常による近視化、まぶしさ、ものが二重に見えるといった症状を伴います。
原因
ほとんどは加齢を原因とします。ある年齢で急に濁るというよりも、中年以降からすこしずつ濁り始めるものと言われています。但し、若年発症のものでは、急激に進行するケースも珍しくありません。
50代以上の方に多い病気ですが、糖尿病の方、長期にわたる副腎皮質ステロイドホルモンの服用をしている方、アトピー性皮膚炎の方は、若くても白内障を発症することがあります。
角膜炎・角膜の傷
外傷や、結膜(白目)、角膜(黒目)にウイルス・細菌などが感染して起こる炎症です。ドライアイの方は、眼の表面を守る機能が弱く、角膜のキズや炎症が起こりやすい状態と言えます。また頻度の高い結膜炎でも、長引くと角膜に炎症が及ぶことも珍しくありません。
症状
結膜の充血、目やに、目のかゆみ、異物感、涙の過剰分泌、まぶたの腫れ、視力低下、まぶしさ、目の痛みなどの症状が見られます。
原因
ドライアイでは、涙の不足、結膜炎では、アレルギーの他、さまざまなウイルス・細菌が原因になります。
アレルギー性結膜炎では、花粉やハウスダストなどが原因となります。
ドライアイ
ドライアイとは、涙の量の低下、涙の質の低下などにより目に十分な涙が行き渡らなくなった状態をいいます。
涙が十分に行きわたらないことで、角膜や結膜が乾燥し、傷つきやすくなってしまいます。また、症状はいずれも日常生活に支障をきたすもので、QOLの低下も懸念されます。
症状
目の乾き、疲れやすさが代表的な症状です。また、涙が少ないことで光が乱反射を起こし、視界のぼやけ、まぶしさ、視力低下などをきたすことがあります。
原因
パソコンやスマホの連続・長時間使用、コンタクトレンズの装用などを原因とします。パソコンやスマホの連続・長時間使用はなるべく控え、適度に休憩を挟むようにしましょう。コンタクトレンズから眼鏡への変更も有効です。
また、紫外線もドライアイを引き起こす原因になります。紫外線の多い季節・時間帯にサングラスやつばの広い帽子などを使用することで、その影響を軽減できます。
ぶどう膜炎
目の中にある虹彩、毛様体、脈絡膜の3つの組織の総称を「ぶどう膜」と呼び、ここで炎症が起こっている状態が「ぶどう膜炎」です。発症後、炎症は徐々に拡大し、目の痛みなどの症状が出現します。
症状
目の痛み(特に光を見たときの痛み)、視力低下が代表的な症状です。加えて、視界のかすみ、眩しさ、目の充血なども見られます。
なお、発症後は目の中で炎症が拡大していくため、白内障、緑内障、硝子体混濁、網膜前膜、嚢胞様黄斑浮腫といったさまざまな合併症のリスクも高まります。
原因
サルコイドーシス、原田病、ベーチェット病といった免疫異常の病気を主な原因とします。
「サルコイドーシス」は、肉芽腫が全身の臓器に形成される病気です。
「原田病」は、メラノサイトという細胞に炎症が起こる病気で、皮膚の白斑や聴覚障害を伴います。
「ベーチェット病」は、口腔や陰部への潰瘍、ぶどう膜の炎症を引き起こす病気です。
しかし、最も多いのは原因不明のものです。
緑内障
視神経に異常が生じることで、視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりといった症状をきたす病気です。典型的ではありませんが、時に、まぶしさを初発症状として訴えるケースも有るので注意が必要です。
非常にゆっくりと進行するため、「歳のせいだろう」と長く放置し、悪化してしまうケースが目立ちます。最悪の場合には失明に至る、恐ろしい病気です。
障害された視神経を元通りにする方法は今のところ確立されていません。しかし、治療によりその進行を緩やかにすることは可能ですので、定期的に検査を受けるなどして、早期発見に努めましょう。
症状
初期には、自覚症状と呼べるものはほとんど存在しません。ある程度進行すると、視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりといった症状が出現します。
緑内障が片方の目で発症した場合、反対側の目で症状がカバーされるため、これも発見の遅れの原因となっています。
原因
眼圧が高くなる・高いことが主な原因です。
線維柱帯の目詰まりによって眼圧が上昇する開放隅角緑内障の場合、近視、加齢の他、酸化ストレス、循環障害などがリスク要因と言われています。
隅角の狭窄や閉じることによって眼圧が上昇する閉塞隅角緑内障の場合には、元々、構造的に隅角が狭い人に、白内障の進行、抗コリン剤が含まれている薬の内服などが加わると、リスク要因となります。